上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
集団登校、どうする? 揺れる学校・保護者たち(引用記事:朝日新聞【2006/05/24】)

 新学期が始まって1カ月あまり。近くに住む子どもたちが集まって一緒に登校する集団登校を続けるか、やめるか、揺れている学校がある。子どもが被害者となる事件が相次ぎ、安全のために必要と考える親も多いようだが、責任をめぐって戸惑いも。そもそも集団登校の目的とは? 現場の声を聞いた。

 東京都のある市立小学校(児童数約650人)では今年度も、集団登校は新学期の最初の2日間だけだった。保護者らから「もう少し長くやって」という声も出たが、実現しなかった。

 2年生の娘がいる母親(38)は、3学期に開かれたPTAの安全対策の会議を思い出した。

 同校の集団登校は、新年度の初めに子どもが互いに知り合い、通学路を覚える目的で行われている。

 低学年の親が「なぜ2日だけなのか」と質問をすると6年生の親の一人が「今の子は下級生の面倒を見られるほどしっかりしていない」と答えた。教頭も「前任校でも高学年の保護者が責任を持てないと言い、見送られた」と話した。

 「年長の子が時に年下の子を気遣いながら一緒に学校に行くのは、私が子どものころは普通のことだったのに」とこの母親は思う。

 別の都内の小学校(児童数約550人)は今年1月から、例年は4月中だけだった集団登校を、毎日実施することにした。12月中に「子どもの安全のため」として、学校から保護者らに連絡があった。

 ところが、保護者の間で意見が割れた。学校は、5月以降のことは約70の地域班で保護者が話し合って決めるように要請した。結局「これを機に保護者同士が交流できた」などメリットを挙げた約40班が続け、10班が「必要性を感じない」「学校が一方的に決めるのはおかしい」などの意見でやめたという。まだ結論が出ていない班もある。

 娘2人がこの学校に通う会社員(40)の班も「学校が近い」などを理由に、やめることを選択した。

 集合場所で騒いで近くの住民から苦情が出たこともあり、毎朝数人の母親が出て世話をしてきた。毎日になって、「必ずだれかが出るのは負担が大きい」などの声が上がっていた。

 「集合時間に遅れた子を学校まで送り届けることもあった。責任を過剰に感じていた親も多いのでは」。会社員はいう。

 新潟市の市立太夫浜小学校(児童数約240人)は03年秋、保護者にアンケートした。3割が「集団登校がよい」と答えたが、7割は「友だちと誘いあうなどして個別に登校する方法でよい」と答えた。

 しかし、事件などの影響か、保護者会やPTAの意見も徐々に変化してきているという。学校側は、意見交換を重ねていく中で、何が一番よいか、親と学校と地域と、みんなで考えていきたいとしている。

 ●交通安全に防犯も、実施は各校の判断

 文部科学省は昨年12月、「登下校時における幼児児童生徒の安全確保について」という通知を出した。「登下校の防犯にしぼった通知を出したのは初めて」(学校健康教育課)という。その中で、児童を極力一人にさせないための具体策として、「集団登下校や保護者等の同伴等」をあげた。従来、集団登校は交通安全の意味合いが強かったが、それに加え、防犯面での役割を喚起した。

 集団登校の実施は「各校の実態に合わせて判断するもの」とするところが多い。

 新宿区教委では、強化月間を設け、期間中1回は集団の登下校をするように求める。だが、児童が少ない学校も多く、保護者の負担が課題になっているという。「学校によりシルバー人材センターを利用するなど工夫しているが、大変なようだ」(同教委)

 市内や近隣で小学生が犠牲になる事件が続いた大阪市の教育委員会は、「万が一事故が起きた時に、誰の責任なのか考えていかなければならない時代になってきた」として、責任論ぬきには考えられないことを指摘している。

 東京成徳大学の深谷昌志教授(教育社会学)によると、集団登校は、明治の中ごろに就学督促の目的で始まった。昭和以降は「少国民育成」のため、整列しての登校が求められ、軍国主義を投影したものに変わった。その影響で、戦後はやめてしまった地区が多い。続けていても、「深い意味づけはないままだったのではないか」と話す。

 地域が安定していた日本は欧米に比べ、これまで学校の安全策についての意識は持たずにきた。

 「急に『防犯』という目的が加わったことで、現場には混乱があるのだろう。一方で、今の子どもは地域や子ども同士のつながりが希薄で、孤立化が深刻になっている。それぞれの学校や地区で、集団登校の意味を再確認するといいと思う」と深谷教授は話している。

 ◇社会性を育てる良い機会に

 子育て支援や地域づくりにかかわる臨床心理士の三沢直子・明治大学教授の話 上級生や下級生など異なる年の子ども同士、近隣の人とかかわる集団登校は社会性を育てるよい機会だ。子どもを犯罪者から守る策が議論されているが、犯罪者を減らすためにはどうするべきかという視点も必要だ。いまは人とのかかわりが希薄で、心が未成熟なまま大人になっている人が増えていると感じる。親だけでは社会性は育たず、地域全体で子どもを育てるような仕掛けを考えていくべきだろう。その一つとして、集団登校をもう少し積極的に活用してもいいのではないか。

スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://tsunekiyo.blog25.fc2.com/tb.php/196-e173b075
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。