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それは図書館で起こった。
閲覧席で文庫を読みながらウトウトしていたところ、「待てー」という叫び声が館内に響き渡った。
ふと顔を上げると、数人の人影が出口に向かって走り去っていくところが目に入る。
何事かと思い、出口に向かうと、警備員姿の男性ふたりに取り押さえられ、連行される少年がいた。

少年がどこかへ連れ去られた後、その場に残された我々の中で交わされる会話に耳を澄ます。
「財布を盗んだらしいわよ」

まだあどけない顔をした少年。
茫然自失といった感じの表情であった。

彼は悪いことをした。
捕まっても当然である。
行為自体は決して許されるようなものではないのだから。

けれども、「ざまあみろ」とは思えなかった。
ただただ虚しかった。
自分が直接の被害者であれば、また別の感情を抱いたことだろう。
ただ、「何でそんなことをしたんだよ」という言葉とともに、彼が歩んできた人生とはどのようなものであったのだろうかという思いが頭をよぎり、ため息をつくより他なかった。

こういう過去を持つ子を何人も見てきた。

彼はこの先どのような人生を送っていくことだろう。
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